野宿者への差別と排除を許さない 殺害から3年−福岡正二さんを悼む
私たちは、福岡正二さんを忘れない
2011年6月26日(日) 14:00 JR府中本町駅集合 → 徒歩で殺害現場へ
14:30 殺害現場で献花 (府中市是政3-55)
想いを語りあおう
16:00 交流会
2008年、多摩川沿いで、野宿の仲間が鉄パイプで連続して襲撃された
2008年6月27日未明、福岡正二さんが虐殺された。府中市にある高速道路下のひっそりと静まりかえった公園で、丸太のベンチに座って一人で眠っていた福岡さん。突然、鉄パイプで頭を何度も殴られ、殺された(享年74歳)。
半年後の2009年1月2日未明、世田谷で、近藤繁さんが虐殺された。フェンスに囲まれた高速道路下で体を横たえて眠っている時、鉄パイプで殴られ、殺された後も脳みそが飛び出るまで殴られ続けた(享年71歳)。
2008年3月から国立・府中など三多摩地域の多摩川周辺で、野宿の仲間が鉄パイプで連続して襲撃されている。そして、近藤さんが殺されたのを最後に、終息した。
「人間のくず」を排除する、資本と行政
10件近い一連の事件のうち、近藤さん殺害と二人傷害の3件は、高本孝之さんが逮捕・起訴された。高本公判の最終弁論(4/25)で、検察は、襲撃によって近藤さんの人生が突然終った、二人は脳などに後遺症が残った、と主張。弁護側は、高本さんが障碍ゆえに生き難さを抱え、障碍ゆえに自分の行為がもたらす結果を想像しきれなかった、殺意はなかった、と主張した。裁判は、社会の秩序を保つためにあり、近藤さんの「生」を明らかにはしない。また、障碍がある野宿の仲間もいるのに障碍がある高本さんとは殺し殺される関係になってしまったことを、あぶり出すこともない。
公判で明らかになったのは、高本さんが父親から、「ホームレスは人間のくず。お前もホームレスになればいい」と言われていたことだ。人間を「くず」と「くずでない者」に分け、「くずは必要ない」という考え方は社会に広く深く浸透している。例えば、1カ月ごとに契約をくりかえす派遣労働だ。会社存続のために労働者を気軽に辞めさせる論理が、まかり通っている。
むき出しの排除は、金儲けを必然とする資本だけではなく、行政も資本と一体になって流れを加速させており、仲間が生きる環境をますます苛酷にしている。墨田区はゴミに出されたアルミ缶を集めて換金していた野宿者の仕事を「資源ごみ持ち去り禁止」条例によって禁じ、渋谷区は国際的なスポーツメーカー・ナイキがプロデュースする若者向け有料公園にするために宮下公園から野宿者を追い出した。野宿者が最後にたどりついた仕事と寝場所を行政が率先して奪い、生存するためのわずかな糧と休息さえはぎとっていく。だからといって野宿者が生活保護を申請しても、申請を拒否されるか、貧困ビジネスである「寮」に入って規則と支配に従わされるか、どちらかの選択肢しか示されないだろう。システム化した排除が、生存と希望を奪っていく。それでも資本と行政は、「殺意はない」と言うだろう。