「住まいの貧困に取り組むネットワーク設立集会」に参加

3月14日(土)、「なくそうハウジングプア! 安心できる住まいを! 住まいの貧困に取り組むネットワーク設立集会」に参加しました。

 第1部では、家賃の支払いが遅れたために賃貸契約していた鍵を交換され荷物を捨てられた人、派遣契約を打ち切りされたがユニオンを結成して契約満了まで賃金を保証され居住を認められた人などが「住まいの貧困」の実態を話しました。
 第2部で、司法書士の徳武聡子氏は追い出しについて話しました。追い出しとは、家賃支払いの遅滞を理由に、アパートの鍵を交換する、アパートに無断で入る、勝手に契約を解除する、家財を無断で処分する、遅滞を理由に高額な違約金を請求する、家賃を滞納していないのに家賃を取り立てる、などをするとのこと。賃貸借契約にも書いてあるのです。追い出すのは、サラ金業者などが経営している家賃の保証人を提供する会社(賃貸保証会社)などで、サラ金の取り立ての手法を使ったりしているようです。消費者契約法では、契約を無効にする文章として、第8条=事業者の損害賠償の責任を免除する文、第9条=消費者が支払う損害賠償の額を予定する文、第10条=消費者の利益を一方的に害する文となっているそうです。追い出し屋には、不動産侵奪罪・住居侵入罪・窃盗罪で告訴する、占有権に基づく妨害排除の仮処分、債務費履行などで賃貸保証会社の責任を追及するなどで対抗できるとのこと。徳武氏も、損害賠償を請求しているそうです。
 NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの代表理事の稲葉剛氏は、シンガポールの記者に、「『派遣を雇い止めされた人が住む家を失う』と書いても理解してくれるか」と言われたといいます。シンガポールでは持ち家政策がしっかりしているから日本の状況を理解しにくいのだそうです。石原慎太郎氏が都知事になって以来、都営住宅は増えておらず、倍率が高くて入れない。しかも、単身者や若年失業者は、入居対象でないのです。賃貸借保証契約があるから賃貸借保証を商売にする会社があるが、本来ならば家賃滞納のリスク回避は家主がすべきで、公的保証が必要ではないかと提案していました。稲葉氏は、仕事と住宅の貧困が暮らしの難民化をうんでしまう、住宅政策は福祉政策としてとらえるべきだ、と発言していました。
 大阪市立大学教授の小玉徹氏で印象的だったのは、家賃扶助だけではダメという話。家賃補助によって家賃が値上がってしまうと…、家主が儲かるだけです。公的住宅が十分になければ、家賃が値上がりしてしまうといいます。
 障碍者だから、高齢だから、シングルマザーだから、外国人だから、賃貸契約しにくい人がたくさんいます。野宿の仲間は、生活保護を申請すると、アパートではなく寮=第二種社会福祉事業宿泊所に入れられます。寮は規則だらけ、プライバシーは全くなく、自立生活とはほど遠い生活をせざるを得ないのです。
 自分の空間があるから、安心して自分の大切なモノを置くことができるし、ゆったり過ごすことができる。安心して暮らすためには住宅政策が重要だ、改めて感じました。

なくそうハウジングプア! 安心できる住まいを! 住まいの貧困に取り組むネットワーク設立集会

 「派遣切り」、「ネットカフェ難民」、「ホームレス」・・・いま、暮らしの基盤である仕事と住まいを脅かされる人々が増え続けています。ワーキングプア(働く貧困層)であるがゆえにハウジングプア(住まいの貧困)という問題に直面する。その背景には「官から民へ」の掛け声のもと、労働分野での規制緩和に加え、住宅の分野でも公的な住宅が縮小され、人々の居住権を侵害する悪質な民間業者が野放しにされてきたことがあります。障害や高齢、外国籍であることなどによる入居差別は跡を絶たず、少し家賃を滞納しただけで鍵を交換したり荷物を撤去したりする「追い出し屋」(「スマイルサービス」や家賃保証会社等)による被害は拡大し続けています。
 こうした「住まいの貧困」に対して、昨年秋以来、住宅問題や生活困窮者の支援に取り組む諸団体・個人が集まり、準備会を重ねてきました。「派遣切り」の問題に対しても「雇用問題であると同時に住宅問題だ」という声をあげ続けています。そして、このたび「住まいの貧困に取り組むネットワーク」として正式に発足することになりました。
 集会では、「住まいの貧困」の全体像に迫り、住宅のセーフティネットを作り出すために何をすべきかを話し合います。「安心できる住まい」をすべての人の手に取り戻すための第一歩が、いま始まります!
 ぜひ集会へのご参加、並びにご賛同をお願いいたします。

【日時】2009年3月14日(土)午後2時〜5時30分(開場1時30分)
【場所】大久保地域センター4階 多目的ホール

【第1部】「住まいの貧困」の現場から
「住まいの貧困」に直面している当事者の声:「派遣切り」被害者、「追い出し屋」被害者、シングルマザー、障害者、外国人、野宿者等の当事者発言を予定
【第2部】「住まいの貧困」にどう立ち向かうか
パネルディスカッション:徳武聡子(全国追い出し屋対策会議、司法書士)、小玉徹(大阪市立大学教授)、稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)

終了後、午後6時よりデモを予定しています!
大久保地域センター→新宿駅東口広場横解散

【賛同】16団体
賛同団体:一般社団法人・市民自立支援センター、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい、神奈川シティユニオン、国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、山谷労働者福祉会館、首都圏青年ユニオン、スマイルサービス被害対策弁護団、スマイルサービス闘争を支援する会、全国一般労働組合東京東部労組、全国一般労働組合東京南部、全国借地借家人組合連合会、全国労働組合連絡協議会全労協)、賃金と社会保障、東京借地借家人組合連合会、反貧困ネットワークフリーター全般労働組合

賛同個人:浅井真由美(『労働情報』編集長)、池田一慶(ガテン系連帯共同代表)、池田幸代(新宿野宿者女性の会「心を開く輪」メンバー、社民党党首福島みずほ秘書)、稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表理事)、稲葉奈々子(茨城大学教員)、岩田鐵夫(社会福祉士精神保健福祉士)、内山智絵(東京都地域精神医療業務研究会)、遠藤一郎(全国一般全国協)、大河内知彦(夜まわり三鷹)、太田尚子(個人)、大本圭野(東京経済大学教授)、奥田浩二(基礎自治体・ホームレス自立支援担当者・臨床心理士)、奥山たえこ(杉並区議会議員)、おぐら修平(足立区議会議員)、鎌田一夫(新建築家技術者集団常任幹事)、河添誠(首都圏青年ユニオン書記長/反貧困たすけあいネットワーク事務局長)、小塚太(フリーター全般労働組合員)、小森彦(偽装請負内部告発する非正規ネット、武庫川ユニオン組合員)、佐藤修三(三多摩自由労働者組合)、志磨村和可(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事)、高須裕彦(LaborNow、一橋大学フェアレイバー研究教育センター)、高幣真公(APWSL日本委員会)、浜崎眞実(カトリック司祭)、樋口容子(個人)、藤本龍介(スマイルサービス闘争を支援する会)、細谷紫朗(東京借地借家人組合連合会・事務局長)、前田智恵美(個人)、松原明(ビデオプレス)、松元千枝(全国一般労働組合東京南部)、松本豊子(個人)、山本創(難病をもつ人の地域自立生活を確立する会)、湯浅誠反貧困ネットワーク事務局長)、米村泰輔(関西合同労働組合執行委員)  以上33名 50音順  09年3月11日12:00現在

                                                                                  • -

主催:住まいの貧困に取り組むネットワーク
世話人:稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)、坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会)、藤本龍介(スマイルサービス闘争を支援する会)
連絡先:東京都新宿区新小川町8-20こもれび荘 もやい気付