空いてるじゃん!住まわせてよ! 花畑団地現地ツアー 報告

2/11、花畑団地現地ツアーの報告です。

  電車に揺られてバスに乗り、やっと着いた花畑団地。まずは集会会場(UR花畑団地 西集会所)へ行きました。しかし!集会所には誰もいない、呆然としました。ツアーについて知っていそうな知り合いに電話しながら30分ほど花畑団地内をうろうろして、やっと会場が変更していたとの情報を得ました。散歩中の方に場所をお尋ねし、なんとか変更した会場にたどり着きました。ふ〜、参った!
 実は、会場は、団地の管理者であるUR(都市再生機構)が、ツアー直前、花畑団地住民の会場利用申請者に対して「目的外使用だから貸さない」と言ってきたそうです。住民がきちんとした手続きを踏んでいるのに自分たち(UR)の意見とは違うから貸さないというのは、いかがなものでしょうか。

 花畑団地は、1960年代から作られました。10年前に建て替え対象団地に指定され、新規入居はストップしたため、2725戸中1080戸が空き家なんだそうです。そして現在、立て替えは中止になり、政府とUR住宅は1358戸の住宅を解体して更地に商業施設を誘致するんだそうです。
 歩いてみると、5階建ての棟が立ち並ぶ、大きな団地です。棟のあちこちが空き家であることがわかり、美しき日本語?=「もったいない」という言葉が浮かびました。

 集会参加者は、150人くらいかな? 結構いました。ツアーのあと、住宅問題や就労問題の話がありました。最後の方で、花畑団地の住民が、「ずかずか入ってこられるのは嫌だ」と話しました。ツアー名「空いてるじゃん。住まわせてよ」のネーミングに腹が立ったようです。主催者からは、住民の生存権を侵そうとは思っていないこと、ツアー名から軽い感じがするかもしれないが深刻な問題だと思っていることなどが話されました。会場から、「ツアー名に腹を立てたならば、謝りたい」との意見も。
 最後に、声明を、満場一致で採択しました。その際、会場の意見で、事前にメールで流されていた声明にプラスし、耐震工事をしっかりすることとエレベーターをとりつけることを付け加えることになりました。住民の高齢化がすすんでおり、エレベーターの設置を望む住民が34%もいるそうで、参加した花畑団地住民から「ありがとう」の声がでました。

空いてるじゃん! 住まわせてよ! 花畑団地現地ツアー 〜住まいのセーフティネットを作ろう〜

  「住まいの貧困に取り組む準備会(TEL03-5323-2996)」のよびかけより。

 2月11日(水・祝)に実際に現地を見学する『空いてるじゃん! 住まわせてよ! 花畑団地現地ツアー〜住まいのセーフティネットを作ろう〜』という行動を予定しています。話に聞くだけであるのと、実際に目の前で見てみるのとは相当な違いがあります。ぜひ現地で本当なら住めるはずの部屋を見て、住まわせてよ!と大きな声を上げましょう! 当日は、団地内の見学のほか、空室の内見や集会所での現地集会を企画しています。

  日  時:2月11日(水・祝)14時〜16時
  集合場所:UR花畑団地 西集会所(足立区花畑5-12-27 4号棟南 西集会所)
  交通機関東武伊勢崎線(地下鉄日比谷線直通)「竹ノ塚駅」東口からバス約15分
       「竹ノ塚駅」東口 東武バス 1番乗り場・竹15系統(花畑団地行)
       「団地入口」下車 徒歩4分で西集会所に到着
       ※現地へは電車・バスなどの交通機関を利用することになります。
        交通費が手元にない住まいを失った当事者には交通費補助として1000円
        を現地でカンパいたします。

『空いてるじゃん! 住まわせてよ! 花畑団地現地ツアー』住宅セーフティネットの確立を求める緊急アピール

                                      08年12月24日(水)
                            住まいの貧困に取り組む準備会 有志

 2008年の冬、突如として世界的な不況の波が押し寄せ、雇用情勢の悪化から、派遣社員期間従業員が解雇や雇い止めにより職を失い、住まいも同時に失うといった事態が頻発しています。
 これは、95年の日経連による「新時代の『日本的経営』」以来、派遣業の拡大が繰り返されることで製造業にまで及び、いまや全労働者の3人に1人以上にもなった非正規労働者が、企業による雇用の調整弁として「使い捨て」にされることで、生存が脅かされるに至った労働問題です。
 そして、これは同時に、持ち家推進政策とともに進められてきた民間企業福祉や民間賃貸借市場に頼った居住施策の破たんによる住宅問題でもあります。
 非正規労働者は、収入が安定せず雇用期間も見通しが立たないことから、持ち家のためのローンを組むことはおろか、連帯保証人や入居時初期費用がハードルとなって民間賃貸住宅に住むことさえできないことがままあります。その結果として、住まいの貧困に曝された非正規労働者は製造業等の寮付き職場やネットカフェなどでの不安定な生活を選ばざるを得ないのです。
 一方で、住宅施策としては、1961年のILO(国際労働機関)による労働者住宅に関する勧告(第115号)が、使用者が直接住宅を提供することは特定の理由がある場合を除き、一般的に望ましくないことであるとしているにも関わらず、すべての人に国が基本的人権としての住まいを保障するといった政策とは逆に、生存に直結する住まいの提供を企業福祉を含めた民間市場に委ねてきました。その結果、2000年の調査では公的賃貸住宅は全住宅の7%に過ぎません。その公的賃貸住宅も若年層に対しては、ほぼ門戸が閉ざされているのが現状です。
 企業による住まいの提供が、雇用情勢の変動により生活の拠点である住まいに直接影響する点や、常に企業からの監視の目に曝されるといった点で好ましくないのは明らかです。
 また民間賃貸借市場においては、1990年代以降、家賃保証会社や悪質な「ゼロゼロ物件」業者(初期費用を低額にする代わりに入居者の居住権を侵害する契約内容を結ばせる業者)により、家賃を少し滞納しただけで入居者を退去させる等の被害が相次いでいます。これらは公的住宅政策の不在につけ込んだ「貧困ビジネス」であると言えます。
 本来であれば行政がしなければならなかった居住福祉政策を、企業福祉や民間業者に依存することでしなかった不作為ばかりではなく、そのことを放置してきた責任は重いと言わざるをえません。
 2008年12月15日より厚生労働省は、「派遣切り」等により社宅からの退去をされられた人々を対象に、雇用促進住宅の入居あっせんを始めました。まずは住まいの確保から始める、という政策の方向性自体は間違っていませんが、廃止決定をしていない雇用促進住宅に限定されるため地域や戸数に限りがあること、入居者がまずは6ヶ月限定の定期借家契約(更新なし)を締結させられることになり、居住権が保障されていないこと、すでにネットカフェや個室ビデオ店、ファーストフード店、あるいは野宿での不安定な生活を余儀なくされている方々が対象となっていないことなど、質量ともに不充分な対策であると言わざるをえません。
 私たちは、住まいはすべての人の基本的人権であるとの考えから、企業を含めた市場に委ねることのない安定的な住宅政策への転換を求めます。
 そのための第一歩として、廃止決定をした雇用促進住宅を含めた運用されていない社会資本の活用を緊急に図るべきです。
その上で、「派遣切り」により社宅を退去させられる人たちだけではなく、ネットカフェや路上など不安定な居所で暮らさざるをえない「ハウジングプア」状態に置かれた人たち全体が、安心できる住居を確保できるよう、政府は公的住宅を拡大し、低所得者に対する家賃補助制度を導入すべきです。
 誰もが安心して暮らせる住まいを確保できるよう、私たちは住宅セーフティネットの確立を強く求めます。

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賛同団体(五十音順):24団体
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい、カトリック社会活動神戸センター、釜ヶ崎のまち再生フォーラム、近畿生活保護支援法律家ネットワーク、国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、困民丸相談所、山谷労働者福祉会館、借家人権利向上委員会、城北借地借家人組合、スマイルサービス闘争を支援する会、生活保護問題対策全国会議、「生の保障」の再生を求めるネットワーク富山、生・労働・運動ネット、全大阪借地借家人組合連合会、全国クレジット・サラ金被害連絡協議会、全国クレジット・サラ金問題対策協議会、全国一般全国協、全国一般労働組合東京南部、全国借地借家人組合連合会、賃貸住宅追い出し屋被害対策会議、東京借地借家人組合連合会、特定非営利活動法人・仙台夜まわりグループ理事会、ホームレス総合相談ネットワーク、夜まわり三鷹


賛同個人(五十音順):148名
四十物(あいもの)和雄(困民丸相談所・雑用係)、青野貴美子(松山たちばなの会)、青山定聖(弁護士)、赤石千衣子(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事)、浅田奈津子(司法書士)、有園正俊(精神保健福祉士)、井口鈴子(司法書士)、伊澤正之(弁護士)、石井芳郎(城北借地借家人組合・組合長)、稲毛由佳(社会保険労務士)、稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長)、稲本信広(全国青年司法書士協議会)、猪股正(弁護士)、猪股智夫(麻布大学准教授)、岩川保久(翻訳・通訳者)、岩崎淳子(前高松市議会議員・二五の会)、岩田哲夫(個人事業主)、岩田正美(日本女子大学人間社会学部)、乾亮太朗(司法書士)、上野勝代(神戸女子大学教授)、内山智絵(東京都地域精神医療業務研究会)、宇都宮健児(反貧困ネットワーク・弁護士)、浦松祥子(賃金と社会保障)、及川智志(弁護士)、大倉祐二(大阪市立大学研究員)、大河内知彦(夜まわり三鷹)、大部孝(司法書士)、大本圭野(東京経済大学教授・日本住宅会議理事)、岡本祥浩(中京大学教授)、奥山たえこ(杉並区議会議員)、おぐら修平(足立区議会議員)、小澤吉徳(司法書士)、小野順子(弁護士)、垣田裕介(大分大学・福祉社会科学研究科准教授)、加藤政洋(立命館大学教員)、椛島敏雄(弁護士)、金子直樹(弁護士)、川島章平(地方公務員)、河添誠(首都圏青年ユニオン書記長)、上溝博司(司法書士)、河野聡(弁護士)、川元みゆき(ホームレス支援を考える会・オープンハンドまつやま)、木下浩(司法書士)、木村達也(弁護士)、木村裕二(弁護士)、北川浩司(弁護士)、北川由紀彦(東洋英和女学院大学等講師)、木谷公士郎(司法書士/兵庫県司法書士会)、小伊藤亜希子(大阪市立大学教員)、小久保哲郎(弁護士、生活保護問題対策全国会議事務局長)、小玉徹(大阪市立大学・創造都市研究科教授)、後閑一博(ホームレス法的支援者交流会代表)、後藤道夫(都留文科大学教員)、後藤悠(借家人権利向上委員会)、今野晴貴(NPO法人POSSE)、齋藤輝二(九州住宅会議事務局長)、酒井克明(びよんどネット)、酒井恵介(弁護士(東京弁護士会))、酒井健雄(弁護士(第二東京弁護士会))、坂庭国晴(国民の住まいを守る全国連絡会・代表幹事)、佐々木(ホームレス自律支援ハウス・カトレア)、笹沼弘志(静岡大学教授)、佐藤一穂(会社員)、佐藤修三(三多摩自由労働者組合)、佐藤富美男(全国借地借家人組合連合会・副会長)、澤口宜男(夜明けの会)、全泓奎(大阪市立大学都市研究プラザ准教授)、塩崎賢明(神戸大学教授・日本住宅会議理事長)、志賀文哉(富山大学教員)、芝田淳(司法書士)、篠田尚幸(NAO設計室主宰)、下村幸仁(会津大学短期大学部ホームレス支援夜回りの会)、鈴川千賀子(社会福祉士)、鈴木俊志(首都圏仲間ユニオン)、鈴木浩(福島大学教授)、鈴木實(岡山野宿生活者を支える会)、須田光照(全国一般労働組合東京東部労組・書記次長)、関耕平(島根大学教員)、関井正博(司法書士)、高幣真公(APWSL日本委員会共同調整委員)、高沢幸男(寿支援者交流会・事務局長)、高橋尚子(NPO法人グローバルヒューマン)、竹内陸男(日本住宅会議理事)、竹川愼吾(富山大学名誉教授)、辰巳裕規(弁護士)、田場暁生(弁護士)、千原茂昭(労金協会)、塚本聡(介護支援専門員)、辻清二(全国生活と健康を守る会連合会事務局長)、堤圭史郎(大阪市立大学研究員)、土屋トカチ(映画監督)、妻木進吾(龍谷大学等非常勤講師)、鶴田啓洋(社会福祉士精神保健福祉士)、徳武聡子(司法書士)、戸舘圭之(弁護士)、冨岡典子(首都圏青年ユニオン)、中島明子(和洋女子大学教授・日本住宅会議理事)、中嶋陽子(京都健康よろずプラザ)、中野真樹子(ひげとしっぽ移動どうぶつ病院代表・獣医師)、長田悦子(司法書士)、永田廣次(司法書士)、中村あずさ(社会福祉士)、中村宏二(司法書士(兵庫県司法書士会))、新里宏二(弁護士)、信木美穂(ホームレス総合相談ネットワーク)、拝師徳彦(弁護士)、橋詰栄恵(尼崎あすひらく会)、橋野高明(日本キリスト教団牧師)、觜本郁(神戸公務員ボランティア)、長谷川寿夫(日本住宅会議理事)、平松朝彦(サスティナブルマンション研究会)、平山洋介(神戸大学教授)、藤井克彦(笹島診療所ソーシャルワーカー)、藤井吉祥(都立大/首都大院生)、藤本龍介(スマイルサービス闘争を支援する会)、舟木浩(弁護士)、船越康亘(全国借地借家人組合連合会副会長)、穂坂光彦(日本福祉大学教授)、細谷紫朗(東京借地借家人組合連合会・専務理事)、堀江尚子(大阪大学人間科学研究科博士後期課程)、堀之内洋一(NPO法人かごしまホームレス生活者支えあう会代表)、本田哲郎(釜ヶ崎反失連共同代表)、本多良男(全国クレジット・サラ金被害連絡協議会)、前田昭彦(都留文科大学教員)、増田尚(弁護士)、水内俊雄(大阪就労福祉居住問題調査研究会・代表)、水谷英二(司法書士)、水村秀男(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)、村上有慶(沖縄職業能力開発大学校教員)、村上英吾(日本大学経済学部准教授)、村澤潤平(新聞奨学生110番(仮))、森川文人(ホームレス総合相談ネットワーク代表・弁護士)、松元千枝(全国一般労働組合東京南部)、山田治彦(弁護士)、山田良治(和歌山大学教授)、山西麻依(大阪市立大学大学院文学研究科前期博士課程地理学専攻)、山本栄一(東京司法書士会)、山本創(難病の会)、山森亮(同志社大学教員)、湯浅誠(反貧困ネットワーク事務局長、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長)、湯沢直美(立教大学教員)、吉田豊樹(夜明けの会)、吉田洋一(NPO熊本クレ・サラ被害をなくす会)、寄藤晶子(松本大学総合経営学部講師)、若松由佐子(すまい・まち工房主宰・日本住宅会議理事)、渡邉恭子(弁護士)、渡辺潤(ソーシャルワーカー)、渡邉充春(釜ヶ崎講座代表)