「ホームレス地域生活移行支援事業裁判」、いよいよ判決!

日程が変更したそうです

 裁判傍聴のお願いがきました。
 私たちが住む多摩地域ではアパートに入るには生活保護から敷金礼金を支給してもらうしかありません。が、23区ではホームレス地域移行支援事業、いわゆる3000円アパートが行われました。家賃3000円は魅力的な感じがします。でも…??
 住まいは私たちの心体を休める場所。誰もが安定して住み続けられる社会にしたいですね。

あたりまえにアパートで暮らし続けられる保障を!

 2004年に都区共同の「ホームレス対策」のひとつとしてはじまった「ホームレス地域生活移行支援事業」。「テント生活からアパートへ」、民間アパートなどの「借上げ住居を2年間(更新あり)低家賃での貸付けを行います」(東京都ホームページより抜粋)とのふれ込みで始まったこの事業を通じて、都内の公園などで野宿を余儀なくされていた多くの方々(これまでに1900人以上)が、地域での生活の再スタートに希望を抱いて、借り上げアパートに入居しました。

 ところが、入居後に、実はこの借上げアパートの賃貸契約が「定期借家契約」という契約だということが分かったのです。……「定期借家契約」とは、と聞かれて、さっと答えられる方いますか?ほとんどの方はご存知ないのではないでしょうか。簡単に言えば、「定期借家契約」とは、実際に住んでいる人の意向(いまの部屋に住み続けたい、とか)に関係なく、契約期間(この事業の場合2年間)の満了をもって自動的(強制的)に終了(契約上の「更新」がない)という、借りる側の居住権が制約される契約なのです。

 当初の説明では2年経ったら「更新もあり」とうたわれていたのに、いつのまにか「定期借家契約」を結ばされていた・・・これはおかしいんじゃないの?ということで、事業を利用した方々が原告となって、事業を立案した東京都などを相手取って起こしている裁判が、「ホームレス地域生活移行支援事業裁判」(羊頭狗肉訴訟)です。訴えの内容は、かいつまんでいえば、“十分な説明がなされないまま契約させられた「定期借家契約」は無効でしょ(=普通借家人としての地位の確認)”、“「借上げアパート」の提供と併せて事業の中でうたわれていた「就労支援」や「生活支援」も必ずしも十分ではなかったのは約束違反でしょ”、といったことなどです。

 これまでのところ、裁判の提訴や、「アパートからの強制的な追い出しはやめて」という署名運動の効果もあってか、契約期間満了を理由としてのむやみな退去強制は差し控えられているようです。また、すでに契約期間満了を迎えた方の中には、現住アパートで大家さんと普通借家契約をあらためて結び直す、他のアパートに(普通借家契約を結んで)転居する、などしてアパートでの生活を守り抜いている方もいらっしゃいます。しかし、いまもなお、契約期間満了となったときに今のアパートに住み続けられるのかどうか、という点で不安を感じている方も少なくありません。

 そもそも、住まいの確保がきわめて困難な状態にある人々に対し、「更新もあり」とあたかも普通借家であるかのような表現まで用いて事業の利用を促しながら(しかも、事業が実施された地域の中には、「テントをたたみ事業を利用して借上げアパートに入居するか、それとも今の野宿場所から退去するか」という事実上の恫喝が行政によって行なわれたところもありました)、契約期間満了時の住まいの保障がない「定期借家契約」を一方的かつ一律に押しつけるのは、「定期借家」制度の濫用(らんよう)であり、公的な施策としておかしいのではないか……。

 この裁判は、表面的には「特殊な事業についての特殊な裁判」であるかのように見えますが、根っこの部分で、(野宿を余儀なくされている方々に限らず)住居の確保が困難な状態にある様々な方々に対する居住政策・居住保障のあり方を問う、とても重要な裁判であると私たちは考えています。裁判の傍聴行動などを通じて、多くの方々にご注目・ご支援いただければ幸いです。

裁判に行ってみよう!

日時:9月28日(月)13時30分
場所:東京地裁615法廷
集合:9月28日(月)12時45分 弁護士会館1階ロビー(東京メトロ霞ヶ関」B1-b出口より直通)
※終了後には弁護士会館にてミニ報告会を予定しています。
 傍聴行動にご参加いただける方は、7月27日(月)12時45分に東京弁護士会館1階ロビーにお集まりください

弁護士会
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