「竪川SLAPP訴訟」、不当判決への抗議声明
野宿者排除の行政が事実も証拠もねつ造した「竪川SLAPP訴訟」は、3月29日に不当判決が下された。
1:被告園良太は「基金」に3万9614円と年5分の利子を払え
2:訴訟費用は被告の負担
3:判決は仮執行できる(銀行口座の差し押さえ等)
である。
この訴訟と判決の最大の問題は、ありもしない「暴行」を間接証拠のみで認めたことだ。
判決は、「江東区職員が首を絞められたと証言している」「医師の診断書がある」の2点だけで事実と認定した。そして「基金が公務災害補償費を払ったことで、怪我を負わせた被告園が負担を免れるのは不合理であるから、基金が園に費用請求する事」は、通常の業務範囲に過ぎないと認めたのだ。
つまり東京地裁民事第49部の裁判官の佐久間健吉、松本佳織、葛西正成は、「江東区」と「基金」の主張を丸呑みした上で、より整理して展開した。まさに司法が国家権力の言いなりとなったのだ。
私たちは、これは力を持つ行政権力や資本が民間人を威嚇目的で訴える「SLAPP訴訟だ」と訴えてきた。それは以下の5点による。
1:江東区は公安警察と連動して竪川の強制排除時から運動を凄まじく敵視してきた。2:首を絞めた事実が存在しない。3:刑事事件で何ら話題にできなかった事を裁判終了を見計らって民事で出してきた
4:訴訟費用が請求費用を優に上回るため、金額回収より嫌がらせ自体が目的である
5:事実が無いから証拠も一切ないため、裁判では何と再現イラストと再現写真(しかも弁護士が被害者役!)というありえないものを出してきた。
ところが佐久間らは5点の指摘には具体的に一切答えず、「江東区も基金も通常の仕事をしただけだ」とだけ書いて押し切った。また佐久間は「裁判での立証責任は基金にある」と言ったのに、裁判前から存在した証言と診断書のみで基金を勝たせた。基金がロクな証拠を出せなかった事も、江東区職員の証言が変節し続けた事も全く問題にしなかった。口では綺麗事を言いながら初めから結論ありきだったのだ。まさに思考停止で権力におもねるヒラメ裁判官、卑劣な保身の極みであり、絶対に許されない。
この訴訟は悪意の連合体だ。江東区役所は竪川河川敷公園で凄まじい暴力排除をした加害者だ。「基金」はそもそも「暴行」とされる現場におらず、裁判に一度も出ず、私たちが質問事項を何度送っても一切答えなかった。その基金が裁判を任せた黒野徳也弁護士は、2002年に明治大学の大学生協顧問弁護士として職員を全員解雇した運動つぶし専門の弁護士だ。権力のやりたい放題を裁判所が追認した。
「基金」は教師の過労うつ自殺を労務災害と認めなかった事で遺族に訴えられ、2月に東京地裁で敗訴したばかりだ。「基金」は真に救済すべき労務災害を認めず1円も支払わないのに、江東区職員の被害ねつ造は即座に認めて全額請求するという腐りきった組織なのだ。
私たちはこの判決が運動つぶしを加速させる事を危惧している。判決翌日に大阪・西成公園の野宿者テントへの行政代執行が強行された。大阪市は職員130人を排除に動員した費用として、野宿当事者と支援団体に何と15万円ずつ請求する方針という。新国立競技場建設による野宿者排除問題でも、JSCを「みなし公務員」として、強制排除事件の1カ月以上後に公務執行妨害をでっち上げ、支援者を令状逮捕するという弾圧が起きた。排除や弾圧で終わらず費用請求までかけてくる、現行犯逮捕が大原則の公務執行妨害が後からねつ造される、ともに竪川SLAPP訴訟と共通した手法が広がっている。
公務員のどんな暴力も許され、少しでも異議を唱えれば弾圧される。しかもいつでも・どこでも・過去のどんな内容からでも刑事と民事の両方で自由自在に弾圧できる時代の始まりだ。それゆえ私たちは、竪川SLAPP訴訟の不当判決を自らの問題と受け止め許さない事を多くの方々にお願いしたい。
そして私たちは江東区、地方公務員災害補償基金、佐久間健吉裁判長らを弾劾し続け、全ての費用請求を絶対に支払わない事をここに宣言する。それにより東京地裁が園さんの銀行口座から引き抜く、給料を差押さえる、自宅へ押しかけるなどの弾圧もありうるため、それらを絶対に許さず、ともに跳ね返していく。
2016年4月3日 竪川SLAPP訴訟をたたかう会
https://tatekawaslapp.wordpress.com/