「LOCOA Activities LOCOA アクション」レポート

 「LOCOA Activities LOCOA アクション」に参加している夜まわり三鷹の仲間のレポートをお伝えします。

9月25日(火)
 LOCOAは、野宿の仲間の運動のアジアで連帯するグループだ。韓国、タイ、シンガポール、フィリピンなどたくさんの国が参加している( http://www.locoa.org/ )。
 2012年9月25日から10月5日まで、タイのバンコクでさまざまな取り組みが行われる。私は、ほとんど外国に行ったことがないし英語もしゃべれないが、外国の仲間と交流したいと思って、思い切ってタイへ行ってみた。語学ができないとか不勉強とかいろいろあり、不十分だとは思うが、写真で補いつつレポートを書きタイ。

 現在泊まっているのは、HSF( Human Settlement Foundation )の事務所。HSFは、タイの野宿やスラムの仲間の居住権を勝ち取るために活動している団体だ。バンコクにあり、スタッフがとてもたくさんいる、大きな団体だ。今回のアクションは、ここの事務所を拠点に行われる。

 25・26日は、マレーシア・韓国・日本の仲間と、タイの仲間が交流する予定。
 今日は、バンコクにあるホームレスターミナルを訪ねた。

■モチット

ホームレスセンターを出てすぐのところから、高速道路の向こうにMBTが見える
 1か所目は、モチットにあるバスターミナル(MBT)周辺を訪ねた。MBTは、シーラートアーバン通り(高速道路)の近く、鉄道公園の隣にある。この近くにある3か所のは公園では体を横にすると警備員がやめさせに来るそうで、MBTに野宿の仲間が眠りに行っていたそうだ。ところが、最近、バスの乗車券がなくて毎晩来る人の写真を撮ってリストにして追い出しするようになってしまい、乗車券がなければ入れないようにする案まで浮上している。警備員は皆、元軍人で、実力者を守るために銃を持って警護している。その銃で、野宿の仲間を殴るのだという。この実力者は、リサイクルで収益をあげており、野宿の仲間のアルミ缶集めと競合しているという事情もあるとのこと。こうした攻撃にはまだ反撃できていないそうで、これからの課題なのだろう。


■鉄道公園
野宿の仲間に話を聴く
 鉄道公園には、雨季の現在は20人ほどの野宿の仲間しかいないそう。ここの警備員も元軍人で、野宿の仲間への差別意識が強く、置き引きがあるとまず、仲間が疑われるのだという。それに、公園の池で洗濯して(水はきれいではない)芝生の上で乾かすが、発見されると洗濯をやめさせられてしまうという。洗濯用のバケツさえ、見つからないように池の中に隠しているそう。トイレも使わせてもらえないので、常に警備員に見つからないように注意しているとのこと。ひどすぎる!
洗濯している池
 ここの仲間は、45歳くらいまでの人が多く、働いている人が多いそう。アルミ缶集めが一番多く、日雇労働も人もいるという。

警備員



■ホームレスセンター

 ホームレスセンターは、バンコク市内に2か所あり、モチットは3か所目として2年前から建設を始めたという。鉄道公園とMBTの間、シーラートアーバン通りの下にある。
 1998年からFRSNがMBTの野宿の仲間などに組織化をはじめたのが始まりだそう。当初は、警官による不法侵入罪による逮捕などがあったという。2006年、不法滞在ではなく法律に基づいて暮らしたいという仲間の要求を受け、所有者の国鉄と交渉し、2008年から1年に1?=20バーツ(日本の感覚だと50円くらい)、144?=2880バーツという安さで借りているそう。賃貸契約が成立しているので水道も電気も合法的に契約している、ただし仮契約しかできないので料金は高めだという。住民たちが割り勘で支払っている。
 なぜ、安く賃貸できるのか。2000年に鉄道沿いのスラムで国鉄による排除があった時、コミュニティが闘い、FRSNも加わり、国鉄と交通省に権利を認めさせ、コミュニティが土地を借りられるというきまりをつくったのからだという。FRSNに所属する61のコミュニティがこの権利を主張し、国鉄と契約したとのことだ。
 土地の契約を済ませ、2010年にホームレスセンターをつくり始めたものの、現在は工事が中断している。チョー・ガン・チャンという企業が下水工事のために地下を掘り始め、建物の基礎が揺らいでしまったから。このため、交渉して補償金を受け取ったが、今度は高速道路を増やす計画が持ち上がり、予定地になる可能性が出てきたため、現在はホームレスセンターの建築をやめているとのこと。FRSN(4地区スラムネットワーク、Four Regions Slum Network)が交渉し、ホームレスセンターを避けて高速道路をつくるか、ホームレスセンターをつくるための代替地を用意するか、要求しているそうだ。
 中途半端になってしまったホームレスセンターだが、鉄道公園にいる仲間など、希望者15人が寝泊まりしているとのこと。アルミ缶・日雇のほか、屋台をしている人もいる。
 この周辺の野宿の仲間を夜に訪問する活動をしているそうで、コーヒーやチーズをもっていくという。

バンコク・ノイ(スーイット・ワットヌー)・ホームレスセンター

 次に訪問したのが、スーイット・ワットヌー・ホームレスセンター
 ウェスタンレイン鉄道のチャランサニットウォン駅のそばにある。
 今日は、ここで昼ご飯をごちそうになった後、ヘロトランチャイ・スーイット・モチット・チェンマイ・コンティエンから仲間が来てくれ、一緒に過ごした。
 ここのコミュニティのロンダンさんによると、野宿になる原因は、主に6つ。
1、農業が成り立たなくなった
2、失業により家賃を支払えなくなった
3、家族が崩壊してしまった
4、HIV感染により家族とも疎遠になった(HIVだと葬儀さえ寺に拒否されるという…)
5、刑務所から出所したで差別される
6、高齢になり家族が面倒をみてくれなくなった(最近の傾向だそう)

 野宿者の組織化のきっかけは、2001年8月1日、バンコク市内の公園を23時に閉めるようにする、と行政から言われたことがきっかけ。2003年にバンコクで開かれたAPECの直前、たくさんの野宿の仲間が逮捕されたという。組織化し、安全な場所がほしいと行政に要求し、2008年にスーイット・ワットヌー・ホームレスセンターが設立されたという。
 その後、QOL(生活の質)を高める活動を始めている。
1、コープで店をつくった
   ―1年に1度、出資者と利用者で利益を分ける(利用料に応じて)。
2、畑を始めた
   ―自分たちの野菜をつくって料理して出費を減らす
3、協力してアルミ缶集積を始めた
   ―個人で少量を換金するより大量に換金した方が高く売れる(1キロ=33バーツが35バーツになる)。
4、家族単位で貯金を始めた
   ―将来に家を構えるために毎月150バーツ。
    福祉ファンドで、1日1バーツ。医療に行くための交通費や出産祝い金(500バーツ)など。
    「お金がない人にはゴミがある」=1バーツのお金がなくてもアルミ缶やビンでもよし

 バンコクではIDカードが必要だが、親類と別れてしまった人などには発行されないので、IDカードに準じるカードを発行させることができたそう。
 次は、家をつくるよう、政府に要求していくという。

 野宿やスラムの仲間は、そうでない人に比べると人数が少ないので、主張を認めさせるように農村で貧困と闘うグループなどいろいろなグループと連帯しているそう。国際連帯もしてもおり、韓国。カンボジア・フィリピン・日本で問題が起きた時、大使館前でもデモをしたとのこと。「連帯が一番の武器だ」と言っていた。本当にそうだ!